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さつまいもへのかん水効果について
はじめに
さつまいもは基本的に乾燥に強い作物ですが、極端な乾燥は収量、品質に大きな影響を及ぼします。
また、昨今多発している周皮乾腐症の原因は、生育前期の乾燥と後期の湿潤が強く影響していると思われます。
※周皮乾腐症とは、さつまいもの表皮にできる円形または楕円形の乾燥腐敗の病斑のことです。

周皮乾腐症の様子
【周皮乾腐症の様子】
千葉県の気候とさつまいも栽培
千葉県では、梅雨期・夏期・秋雨期にまたがって栽培されるため、湿潤→乾燥→湿潤を繰り返し、ほ場条件が著しく変化する為、品質劣化を助長しやすい作型といえます。
最近は日照不足や高温少雨といった天候不順が続き、さつまいも栽培にとっても悪影響を及ぼしています。
 
さつまいもの品質と水分の関係
(1)生育前期の乾燥と生育後期の湿潤は、収量、品質に悪影響を及ぼす
※近年、周皮乾腐症が発生しにくいといわれる「べにはるか」にも発生しています。
 
(2)生育前期の湿潤と生育後期の乾燥は、品質に良い影響をあたえる
 
(3)生育後期が湿潤の場合、生育前期の湿潤は乾燥より周皮乾腐症を軽減する
秋雨時期は台風の到来など多くの降水量が予想される時期です。生育後期の湿潤条件はかなり高確率で発生します。この点からも生育前期に乾燥条件が発生した場合のかん水作業は周皮乾腐症の低減、または生産物の品質維持を期待できます。
かん水の時期及び効果
(1)かん水量は乾燥しきる前に一回たっぷりとあたえる
乾ききっているからでは回復しにくくなります。また、乾ききってからの少量かん水はすぐ乾燥状態に戻ってしまいます。かん水する場合は乾ききる前にたっぷり行いましょう。夏期のかん水は、pF2.5(地下20cm)を目安に行うとよいでしょう。
 
(2)夏期のかん水のタイミングは梅雨時期の降水量をみて
生育前期にあたる梅雨時に例年通りの降雨と7月下旬梅雨明けであっても、8月のお盆まで降水がまったく無く、乾燥状態なら様子をみてかん水しましょう。
梅雨時期に降水量が少なく、夏期に降水がまったく無いような状況なら、8月の上旬、中旬には必ずかん水しましょう。
生育前期にあたる梅雨時期に降雨が例年並みであり、適度な水分状態なら様子を見る必要があります。ほ場条件はそれぞれ異なりますので、地上部の植物体の状況を見ながら判断しましょう。
 
 夏期のかん水有無による周皮乾腐症の発生状況及び収量

(3)乾燥時期のかん水は品質悪化の原因ではない
よく「かん水すると物が悪くなる」ということを聞きますが、千葉県農業総合研究センターの試験においても、50mmのかん水量を1回実施しても、1週間弱でかん水前の状態に戻っています。1回のかん水は1回の雨程度ですから、1回程度のかん水が問題を起こすとは考えにくいと思われます。乾燥時期では1週間ごとのかん水でなんとか水分状態を維持するのがやっとです。品質劣化の主因は、その後の秋雨の湿潤状態と考えられます。
何度もかん水はできないとお考えの方も多いと思いますが、たとえ1回でもかん水を実施すれば、写真のようなかん水の効果が生じます。近年の調査でも収量はかん水の回数に比例しているデータもあります。
 
かん水区 ほ場の様子  無かん水区 ほ場の様子
【かん水区 ほ場の様子】                   【無かん水区 ほ場の様子】

かん水区 収穫物  無かん水区 収穫物
【かん水区 収穫物】                      【無かん水区 収穫物】
※品種:ベニアズマ  調査:2010.9.1  定植:2010.5.25(かん水区)  定植:2010.5.27(無かん水区)
  かん水:2010.8.15(かん水区)                        印旛農林振興センター2010年調査より
最後に
年毎の気象条件によって、基本的に土壌水分状況は異なります。さつまいものかん水は、ほ場条件の他、様々な要因により、量やタイミングが異なると思われます。植物体の根張りも各ほ場により異なります。
したがって、各ほ場の土の状況や植物体の状態(葉の巻き方、萎れ具合、葉色、つや等)を見ながら、生産者の皆さんが各ほ場別にかん水のタイミングを臨機応変に掴むことが重要です。
 

さつまいもへのかん水効果

さつまいも栽培におけるかん水の時期・効果等についてまとめました。


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